僕は近年になって、日本ツアーのプログラムの一つに、ローリング・ストーンズのトリビュートを新企画として始めた。
キース・リチャーズのギターは、掘り下げるほどにその才能の豊かさが分かる。ギターの巧さに関しては、世界にはもっと上手いギタリストが居るかも知れない。
が、彼の凄さはそこではなくて、その一つはオープンGチューニングをロックンロールに取り入れたパイオニアだと言うこと。ストーンズの数々のヒット曲は、彼のギターのリフ無しには存在しなかっただろう。
僕は、2代目リードギタリストのミック・テイラーが在籍した、1960年代終わりから70年代始めの5、6年間のストーンズが一番好きだ。キース・リチャーズの歯切れ良いリズムギターの上に乗っかって、ミック・テイラーのブルースギターが自由自在に空間を縫っている、あの好対照な緊張感が気持ちいい。
その時期にストーンズは、次々と傑作アルバムをリリースし、イギリスを越えて世界的なロックバンドとなった。
僕がビートルズよりストーンズにいっそう共感できるのは、ミック・ジャガーとキース・リチャーズが作る曲が、黒人ブルースやソウル音楽をルーツにしてるからだ。
思うに、ストーンズのトリビュート・バンドが世の中に少ないのは、彼らの内面に秘めたヘビーなブルース・フィーリングを再現できるプレーヤーが少ないからではないか。つまり、そこを押さえずにストーンズの曲をカバーしても、それは上滑りになるだけだろう。